この記事を書いたのは…
小針亜葵子
PR/オウンドメディアプロデューサー編集プロダクションやアパレルブランド勤務を経てウェブメディア業界へ。月間500万PVの男性メディア編集長や有名ガールズファッションイベント公式メディアの事業責任者などを経て、現在はPR/コーポレートブランディングを担当。2016年より現在まで、メディア運営のノウハウを生かし、男性グルーミングブランドのオウンドメディアプロデューサーも担当している。
ペルソナとは
ここでは、マーケティング用語として広く使われる「ペルソナ」の由来や詳しい意味について説明します。
ペルソナの由来
ペルソナとは、もともとラテン語の仮面を意味する「persona」から由来します。スイスの心理学者カール・グスタフ・ユングによって提唱された心理学用語であり、人間の「外的側面」「内側に潜む自分」がペルソナだと定義されています。個人が自己を抑え込み、社会的な役割を演じる仮想的な「仮面」を指し、自己保護の機能を果たす心理的概念です。
マーケティングにおける「ペルソナ」の意味
マーケティングでの「ペルソナ」とは、商品やサービスを利用している典型的なユーザー像のことを意味します。“仮面の自分”という概念から派生し、ターゲット市場や消費者層に合わせた、特定のイメージを持つ商品やブランドの理想的な顧客像(架空のユーザー像・人物モデル)を指します。
ペルソナの設定には、氏名、年齢、性別、居住地などの基本情報から家族構成、仕事に関わる項目、趣味嗜好、価値観、情報収集方法、休日の過ごし方など、その人が実在するかのような詳細な情報を設定します。
企業は、このペルソナ像に基づいて製品やサービスの開発、マーケティング戦略、広告展開などを行い、顧客との共感や接触を強化することを目指します。
<to C向けペルソナ設定項目例>
・氏名
・年齢
・性別
・居住地
・住居情報(持ち家、実家、賃貸など)
・家族構成
・人間関係
・職業
・業種
・役職
・年収
・趣味嗜好
・休日の過ごし方
・タイムスケジュール
・好きなエリア、ショップ
・情報収集方法(SNS、TV、新聞、雑誌…)
・悩み(商品に関わる分野)
・価値観、目標、理想 など
<BtoB向け商品・サービスのペルソナ項目例>
【企業のペルソナの場合】
・会社名 (A・B… など)
・業種
・所在地
・資本金
・従業員数
・事業内容
・売上高
・決算月
・社風
・企業のミッション、ビジョン
・課題
ペルソナ設定の目的
ペルソナ設定の目的は、人物のプロフィールを具体的に設定することで、そのユーザーがどんな商品やサービスを求めているか、ニーズを読み取るためです。
ペルソナは、商品やサービスの開発、既存商品やサービスのテコ入れ時などに設定します。設定する人数に制限はありませんが、一般的には3〜4パターン、多いときには6パターン以上のペルソナを設定することもあります。SNSの普及やライフスタイルが多様化した昨今、ターゲットとする生活者が1つのパターンで網羅できないことも多く、複数パターンを用意して共通認識を持つことがおすすめです。
ただし、複数のペルソナ設定をしたからといって、全てのペルソナのニーズがかなった商品・サービスを目指すわけではありません。購入の可能性があるペルソナを一旦全て把握した上で、「メインはこのペルソナ」「直近の3ヶ月はこのペルソナに注力してみよう」「このペルソナを狙うのは断念しよう」と優先度をつけ、施策検討に生かしていくのです。
ペルソナとターゲットの違い
ペルソナもターゲットの違いは、設定するユーザー像の「詳細さ」にあります。商品やサービスのユーザー象という点においては同じ意味を持ちますが、「ターゲット」よりも「ペルソナ」の方がより詳細に、深く人物像を設定します。
「30代主婦向けの化粧品」の開発をするとした場合、ターゲットとペルソナの設定の仕方には、以下のような違いがあります。
ターゲット | ペルソナ | |
---|---|---|
性別 | 女性 | 女性 |
年代 | 30代 | 35歳 |
属性 | 主婦 | 主婦 |
家族構成 | - | 夫、子供2人 |
年収 | - | 世帯年収500万円 |
趣味 | - | 料理 |
例えば、ターゲットの場合は、「30代の主婦」「40代の男性会社員」というように性別や年代、属性などの大枠だけを設定します。
一方、ペルソナの場合は、ユーザーの家族構成や年収・趣味など、より細かいプロフィールを作ります。また、上記のように「30代主婦向けの化粧品」の開発をするとした場合、同じ「30代の主婦」でも、世帯年収500万円の主婦と2,000万円の主婦では、価値観やライフスタイルが異なります。
ペルソナが年収500万円なら「コスパを重視した化粧品」、年収2,000万円なら「美容成分やラグジュアリー感を重視した化粧品」を求めているなど、ペルソナを設定することでニーズの違いに気づけるでしょう。さらに詳細なペルソナを作り上げれば、よりユーザーに対するアプローチを組み立てやすくなります。
ペルソナの活用シーン
マーケティングにおいて、さまざまなシーンで活用されているペルソナ。具体的には、広告プロモーションやウェブサイトのリニューアル時などに設定されます。その他、ペルソナ(ターゲットとなる顧客)の悩みを解決する記事を提供するコンテンツマーケティング、TwitterやInstagram、YoutubeなどのSNSで商品の情報を発信するソーシャルメディアマーケティングなどでもペルソナを設定することがあります。
ペルソナ設定のメリット
ペルソナ設定はマーケティングを有利に進められるなど、さまざまなメリットがあります。ここでは、ペルソナ設定の具体的なメリットをご紹介します。
社内でユーザー像を共有できる
社内におけるユーザー像の共有とターゲット顧客の理解
「30代女性」のようなざっくりとしたターゲット像ではユーザー像は多岐にわたり、人によって異なるユーザー像を頭に浮かべてしまう可能性があります。
一方、ペルソナを作成することで、ターゲット市場の顧客像を具体的に把握することが可能になります。顧客の属性、ニーズ、行動パターンなどを設定することで、ユーザー像が統一しやすくなり、メンバー同士のユーザー像のブレを防ぎ、共通認識を持つことができます。このように、ペルソナ設定によってメンバーが同じ認識を持って理解することで、効果的なマーケティング戦略を立てることができます。
ユーザーの気持ちに寄り添える
ペルソナ設定をするとユーザーの人物像が明確化され、価値観や好み、悩みや課題などが想像しやすくなり、ユーザー視点で物事を考ることができます。商品やサービス内容を決める際に、実際に使う人の気持ちになって議論したり意思決定が可能になるので、結果としてユーザーが真に求めるものを提供できるでしょう。
また、詳細な分析によって設定されたペルソナの気持ちに寄り添い、ニーズに合致した商品やサービスを提供することで、競合他社との差別化を図ることができます。
マーケティング戦略の最適化
ペルソナを持つことで、企業は製品やサービス、広告、プロモーションを顧客の興味や要求に合わせて最適化できます。ターゲット顧客に響くコンテンツやメッセージを提供することで、顧客との接触や共感を増やすことができます。
費用対効果の向上
ペルソナを持つことで、広告やマーケティング予算をターゲット顧客に最適化できます。マーケティングに関わる無駄な宣伝費用や作業時間を削減し、効果的な施策だけを展開することができます。
ペルソナの作成方法
プロフィールをただ埋めれば、ペルソナ設定ができるわけではありません。ここでは、マーケティングに効果的なペルソナ設定の方法を紹介します。
①マーケットリサーチ(情報収集)
②セグメンテーション(情報の取捨選択)
③ペルソナの特定
④ペルソナのプロファイル作成
⑤ペルソナの名前とイメージ
⑥チームにペルソナを共有する
⑦ペルソナの活用
ペルソナを作成する方法はこのような手順で行うことが一般的です。以下、詳しくご紹介します。
①マーケットリサーチ(情報収集)
ターゲット市場の顧客を理解するために、市場調査を行います。アンケート、インタビュー、データ分析などを活用して、顧客の属性、ニーズ、行動パターンなどを把握し情報収集をします。
この画像は、弊社で作成している構成書のペルソナ研究欄です。弊社ではSEOのキーワード選定後に、
・そのキーワードがどのような言葉と組み合わせて検索されているか
・検索行動から何を知りたいと思っているか
を分析し、ペルソナを決めています。実際に行っているペルソナ設定の手順は以下の通りです。
1.CINC「Keywordmap」、Key Tools Limited「Keywordtool」などのSEO分析ツールで対策キーワードを選定
2.「ラッコキーワード」を使用し対策キーワードの関連用語を抽出
3.関連キーワードをグルーピングしユーザーニーズを読み取る
4.Yahoo!知恵袋やTwitterなどからユーザーの疑問を抜き出す
5.集めた情報を元に構成書のペルソナ欄を埋めていく
②セグメンテーション(情報の取捨選択)
ペルソナ設定に役立つ情報を集めたら、情報を整理しましょう。データの分類をし、取捨選択して必要な情報だけに絞ります。主観や先入観でデータが偏らないようにするのがポイントです。
③ペルソナの特定
各セグメントから最も代表的な顧客像を見つけ出します。これらの顧客像が、実際のターゲット市場のペルソナとなります。
④ペルソナのプロファイル作成
情報を整理したら、ペルソナ設定をしていきます。それぞれのペルソナに対して、年齢、性別、職業、興味、行動パターンなどの情報を詳細に記載します。以下の表のように、項目を埋めて作成してみてください。
<項目> | <情報> |
基本情報(年齢、性別、住居地) | 33歳女性仙台在住 |
仕事(職種、役職、最終学歴) | 医療事務のパート4年制女子大卒 |
人間関係(恋人・配偶者の有無、家族構成) | 既婚小学生の子ども2人 |
ライフスタイル(起床・就寝時間、通勤・勤務時間、自炊や外食などの食事の仕方) | 6時起床・0時就寝自宅近くの総合病院に車で15分ほどかけて通勤月~金10:00~17:00勤務帰宅後、自炊にて食事をとる |
性格(価値観) | 新しいもの好き興味のあるものはすぐ購入して試したい |
趣味 | 海外ドラマお酒を飲む |
収入や貯蓄額 | 年収200万(世帯年収800万)マイホーム購入後で貯蓄300万 |
インターネットの利用(所持しているデバイス、利用時間) | PC、スマホ、タブレットを所有仕事の休憩時間や就寝前などにスマホを利用する利用時間は1日3時間くらい |
⑤ペルソナの名前とイメージ
ペルソナをより具体的にイメージするために、それぞれに名前と顔写真(イラスト)を付けることがあります。
⑥ペルソナを共有
マーケティングチームや関係者とペルソナの情報を共有し、全員が理解することが重要です。
⑦ペルソナの活用
ペルソナを元にマーケティング戦略や広告、プロモーションを計画し、ターゲット市場に適したアプローチを実施します。ペルソナ作成は定期的に見直すことも大切で、市場の変化に対応しより効果的な戦略を実施するために更新していくようにしましょう。
ペルソナ設定をする際の注意点
大まかなペルソナ設定の流れが分かっていても、集めたデータを上手くまとめられないと、ユーザーに寄り添えていないペルソナになってしまいます。ここでは、ペルソナ設定をする際の注意点を紹介します。
理想に偏ったペルソナ設定にしない
ペルソナが会社にとって都合の良いユーザー像にならないように注意しましょう。最初から自社の商品に興味を持っているユーザーなどにはせず、現実にいる顧客を元に設定してください。また、ペルソナの項目をただ埋めるのではなく、ペルソナの行動や好みからニーズをしっかりと読み取るのが大切です。
客観的な視点でペルソナ設定する
「こういう人いそうだね」と、確証のないペルソナ設定をしないようにしましょう。例えば、「高年収=高級志向」のように、雰囲気やイメージだけで設定するのは避けましょう。これは想像上の設定であって、実際は「品質さえ良ければ、ブランドは気にしない」など、考え方が異なるケースもあるからです。
ユーザーのニーズを見逃さないためにも、情報収集の際に手に入れた「客観的な視点を持つデータ」を上手く活用し、理論的に設定することが必要です。
ペルソナ設定は定期的に見直しをする
ペルソナは1度作成したらそれで終わりではありません。時間の経過とともにユーザー像も変化していくため、時流に合わせて、定期的にペルソナ設定の見直しをすることが大切です。
ペルソナ設定はプロに!スマートメディアのサービス「Ownd」
自社の商品やサービスの認知を高めるために、オウンドメディアを運営する企業が一般的になっています。オウンドメディア運営の中でも立ち上げ時に行う「ペルソナ設定」はとても重要です。
ペルソナ設定はもちろん、サイト構築からコンテンツ制作・SEOを含めたオウンドメディア運営を一気通貫で提供するサービスが、ベクトルデジタルが提供する「Ownd」です。
オウンドメディアの "プロ" が立ち上げ・記事制作・運営まで徹底伴走
「Ownd」は、オウンドメディアの "プロ" が立ち上げ・記事制作・運営まで一気通貫で行うオウンドメディア支援サービスです。立ち上げ1年で50万PV達成の実績を持つ、プロの編集部が記事作成を担当し、さまざまな業種のクライアント様と伴走し、メディア運営支援をさせていただいています。
ペルソナ設定ではさまざまなツールを使用し、客観性を取り入れながらユーザー像を作り上げています。
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弊社のメディア運営ではSEOや企画記事を作成し、実際にユーザーに“読まれる”記事を作成しています。経験豊富な編集部が企画から制作までを行い、良質なコンテンツでファン醸成をサポートします。
<支援事例>
・賢くオシャレになれるブランドマガジン「KOMERU」
・老舗メガネ専門店・メガネの愛眼の「Aigan STYLE」
ペルソナ設定をマーケティングに活かそう
ペルソナ設定はマーケティングにおいてとても重要。ユーザーの気持ちに寄り添えるのでニーズを分析しやすくなり、それに合わせた商品やサービスを提供できるようになります。こちらで紹介したペルソナ設定の方法を、上手に活用してみてくださいね。