この記事を書いたのは…
小針亜葵子
PR/オウンドメディアプロデューサー編集プロダクションやアパレルブランド勤務を経てウェブメディア業界へ。月間500万PVの男性メディア編集長や有名ガールズファッションイベント公式メディアの事業責任者などを経て、現在はPR/コーポレートブランディングを担当。2016年より現在まで、メディア運営のノウハウを生かし、男性グルーミングブランドのオウンドメディアプロデューサーも担当している。
重要なマーケティング施策として定着したオウンドメディア
ここでは、企業のマーケティング施策として定着しているオウンドメディアが、企業の一般的なマーケティング施策として広まった背景をご紹介します。
オウンドメディアに注目が集まった背景
オウンドメディアが新しいマーケティング手法として日本に広まったのは2014年ごろ。大手飲料メーカーなどがこぞってオウンドメディアを構築し、話題になりました。その後、2018年ごろから改めてオウンドメディアブームが再来。2023年現在では、企業が当たり前に行うマーケティング施策としてすっかり定着しています。
オウンドメディアがマーケティング手法として定着した背景の1つには、2016年に大きな話題となったキュレーションメディア問題が挙げられるでしょう。健康・医療系キュレーションメディアの記事において、医学的根拠がない情報が多数配信されていることが発覚し、メディア業界に激震が走りました。
これをきっかけに、生活者は「信頼性」がある情報を求め、企業も自社のマーケティング活動における「ブランドセーフティ」を重要視し始めたのです。
その結果、企業が長年培ってきたノウハウや独自の知見を活かした情報を発信するオウンドメディアへの情報源としての価値が高まりました。また、オウンドメディアの成功事例が様々な業界で生まれたため、企業が取り組むべき施策としての認識が広まったのです。
失敗に終わるオウンドメディアも多数
引用元: ※出典:広報会議 5月号「オウンドメディア活用に関する調査」
オウンドメディアは成功すればWEB集客に大きく貢献する施策です。しかし、メディア運営経験が乏しい企業ではオウンドメディアの規模拡大が難しく、せっかく取り組んでも失敗に終わったり、伸び悩むケースが多く見受けられます。
株式会社宣伝会議が発行する『広報会議』2020年5月号の調査(※)によると、約50%以上のオウンドメディアが月5万PV以下の規模に留まっているとのこと。
スマートメディア オウンドメディア営業担当
実際に、弊社にオウンドメディア制作のご相談をされるクライアント様の多くが、「既にオウンドメディアを始めているものの、誰にも閲覧されないのでやる気がなくなりいつの間にか更新しなくなってしまった」という失敗パターンでした。
オウンドメディアを成功に導く3つの集客戦略
そのような失敗をしないためにも、オウンドメディアを構築する際は、立ち上げの段階から集客戦略をしっかりと考えておくことが重要です。オウンドメディア立ち上げ時の重要な集客戦略として、以下の3つが挙げられます。
①SEOで狙った顧客を継続的に獲得すること
②SNSで単発的に集客を強化すること
③SEOに強いCMSを導入すること
ここからは、オウンドメディアを成功に導くこの3つの戦略の概要を、事例とともに説明します。
①SEOで狙った顧客を継続的に獲得すること
スマートメディアが手がけるオウンドメディアにおいて集客戦略の軸となるのが「SEO記事」です。SEO記事とは、検索結果上位にオウンドメディアのページを表示させて潜在顧客との接点を安定的に創出することを目的とした記事(コンテンツ)を指します。
例)掃除用具を販売する企業のオウンドメディアの場合
・大掃除をする際の順番を解説する記事
-タイトルイメージ:「高いところから低いところを掃除しよう!」など
・予め用意しておくべき道具を解説する記事
-タイトルイメージ:「大掃除には何が必要?基本の掃除道具とあると便利なお役立ちアイテム」など
など、自社と関連性の高いキーワードに基づく記事を制作しておきます。
生活者が「大掃除 コツ」というキーワードで検索した時、その記事が上位表示されるようなコンテンツを仕込みます。その結果、生活者が掃除用具を販売する企業のオウンドメディアにたどり着き、記事によってその企業が販売するお掃除グッズをよく知ることや、興味につながります。記事内に購入への導線を置くことで、購入したい生活者がスムーズに商品を買うことが可能です。
このように、潜在顧客との接点創出をするのをゴールとしているのがSEO記事です。
SEO記事の特長は、一度検索結果上位にランクインすると継続的に閲覧数を獲得できることです。さらに、戦略的に記事を制作すればするほど効果が蓄積され、色々なキーワードで検索結果上位に掲載される可能性が高まることです。
サステナブルとは?意味や個人でも取り組めるものを紹介
サステナブルとは、未来の自然環境や人々に配慮した行動などを表す言葉です。最近、テレビやSNSでよく耳にするサステナブル。しかし、いまいち理解できていない人もいるのではないでしょうか。本記事では、サステナブルについて詳しく解説し、ファッション業界や飲食業界が行っている活動、私達ができる取り組みについても紹介します。
例)株式会社コメ兵様のオウンドメディア『KÓMERU(コメル)』
・株式会社コメ兵様:日本最大級のリユースデパートを運営
・SEO記事は2019年に制作
・対策キーワード「サスティナブル」
この記事は、長年「サステナブル」「サスティナブル」で検索結果上位を保持しており、記事公開から数年経った今でも、常にメディア全体の閲覧数を牽引するコンテンツになっています。
スマートメディア オウンドメディアプロデューサー
弊社では、オウンドメディア立ち上げ初期からSEO記事を制作することを推奨しています。記事の制作予算や編集部の人数にもよりますが、できる限り毎月5〜10記事ほどのSEO記事を、継続的かつていねいに作ることを強くおすすめしています。
②SNSで単発的に集客を強化すること
SEO記事と同時に制作することを推奨しているのは企画記事です。企画記事とは、いま話題の人へのインタビュー記事や、生活者が気になっているであろうトピックを、専門家の取材を通して特集する記事など多岐に渡り、運営するオウンドメディアに関連が深いネタを取り上げます。そして、季節やトレンドを加味して制作し、SNSで拡散しファン作りを目的とした記事を指します。
SEO記事は、生活者の疑問や悩みを解決するための辞書的な記事になるケースが多く、SEO記事だけを更新しているオウンドメディアは、わかりやすく簡潔な反面、少しシンプルなものになってしまいがちです。
一方、企画記事は、さまざまな切り口で企画された記事のため、生活者が楽しみながら読むことができ、オウンドメディアに彩りを与えてくれます。さらに、時事性のある切り口にこだわったり、話題の人に出演してもらったりすることで、SNSで話題化(バズ化)することも狙える記事です。
スマートメディア オウンドメディアプロデューサー
実際に弊社で制作している眼鏡の愛眼様のオウンドメディア「Aigan STYLE」では、2020年5月に以下の記事を医師監修付きで制作したところSNSで話題になり、公開からすぐに数万PVを獲得しました。
弊社では、この企画記事をプレミアム記事と呼び、少なくとも月1本〜2本制作することを推奨しています。また、企業が運営しているTwitterやInstagramアカウントでも、プレミアム記事を紹介することはもちろんのこと、出演いただく方にも任意でその記事をSNSでご紹介いただいています。そうすることで、より話題化・ファン化できるオウンドメディア運営につながります。
【眼科医監修】目からも感染する新型コロナウイルス!メガネで対策を - Aigan STYLE(メガネ・めがね)
世界中に感染が拡大している新型コロナウイルス(COVID-19)は、体の粘膜に付着することで感染するといわれています。入り口として鼻や口がよく知られていますが、目からも感染する可能性があるのをご存知でしょうか。今回は、目からウイルスに感染する仕組みや原因、対策をご紹介。対策のひとつとしてメガネを取り入れるのも有効といわれています。
SEO記事とは異なり、プレミアム記事はコツコツと効果を蓄積していくようなものではないものの、一度話題になると、SEO記事以上に閲覧数を稼ぐことができる爆発力があります。
③SEOに強いCMSを導入すること
オウンドメディアを成功に導く3つ目の集客戦略は、意外と盲点になりがちな「CMS」です。
CMS(コンテンツ・マネジメント・システム)は、ウェブサイトのデータをまとめて保存・管理し、手軽にウェブサイトの作成や管理ができるシステムを指します。このシステム選びを間違ってしまうと、いくらSEO記事を頑張って更新したとしても効果を得られなかったり、効果を得るまでに相当時間がかかってしまうケースがあります。
SEO記事を制作し検索結果上位に表示を狙うためには、記事の中身も大変重要です。しかし、それに加えて、
・パンくずリストが設置されているか
・記事内に目次を表示できるか
・画像のaltタグを設定できるか
など、SEOに最適化された内部構造が重要になってきます。
・読者にとって便利な機能があるか
・Googleのクローラー*が自社オウンドメディア内にどんなページや情報があるのかを正しく把握してもらえる仕組みがあるか
ということも大変重要になります。
このように、CMSを選ぶ際は、SEO記事を制作する上で必要な機能が揃っているかが鍵になります。自社にエンジニアがいない場合は、特にそれらの機能があらかじめセットされ、かつ自分で設定しなくてもよいCMSを選ぶことが大切です。
*世界中のWEBサイトを巡回しているロボットのこと
スマートメディア オウンドメディア営業担当
弊社が開発・運営するCMS『Clipkit®︎』は、SEOに必要な基本機能が揃っております!前述の愛眼様オウンドメディア「Aigan STYLE」でもClipkitを利用していただいていますが、SEO記事だけで月間50万PVを獲得しています(2021年2月時点)。
【実践編】SEO記事の作り方
ここまで、スマートメディアが提唱する3つの集客戦略を紹介しました。「戦略は分かったけど実際にどうやるの?」という方のために、各記事の制作フローを公開します。まずはSEO記事から!
検索結果上位を獲得し、継続的に潜在顧客と接点を持つことを目標とするSEO記事は、しっかりと工程を踏んで継続的かつていねいに制作することが重要です。スマートメディアでSEO記事を制作する場合は、こちらの図のように、大きく5つの工程を踏みます。
キーワード選定
1つ目の工程は、SEOの施策として重要な「キーワード選定」です。SEOツールを利用し、オウンドメディアで検索結果の上位表示を狙うべきキーワードを選定します。キーワードは色々な選び方がありますが、
・競合オウンドメディアが上位表示を獲得しているキーワード
・リーチしたい潜在顧客が普段から検索しているであろうキーワード
など、複数の切り口でキーワードを分析し、選定していきます。
スマートメディア オウンドメディアプロデューサー
各オウンドメディアの特長や目標を踏まえて詳細に分析し、複数の切り口で選定します。なお、弊社ではキーワード選定に複数のツールを使っており、株式会社CINCが提供する『Keywordmap』やKey Tools Limitedが提供する『Keywordtool』を活用しています。(どちらも有料)
ターゲットの研究
スマートメディアが実践するSEO記事制作では、キーワードを選定し、2番目の工程である「ターゲット研究」を行います。
・そのキーワードはどんな言葉と組み合わせて検索されているのか
・そのキーワードでGoogle検索をしている人はどんなことを検索行動から知りたいと思っているのか
・どんなペルソナ(性別・年齢・子供の有無・世帯収入など)に向けて記事を書くべきなのか
ということを徹底的に分析します。さらに、そのターゲットが思わずクリックしたくなるような記事タイトルもこの工程で設定します。
構成書作成
ターゲットの研究結果を加味し、記事の構成書を作成します。
SEOでは、その記事が競合メディアの記事と比較してより優れているかという相対評価も重要になるため、競合サイトがどんな内容を掲載しているのかも加味しながら構成を作っていきます。
スマートメディア オウンドメディアプロデューサー
弊社では、読者の方が飽きずに読めて、求める情報をある程度網羅できるよう、1記事おおよそ3,000文字前後で執筆できるような構成にしています。
執筆・校正・公開
構成書が完成したら、いよいよ執筆です。執筆する際は、読者にとって読みやすく簡潔な文章をこころがけます。また、この時点で記事内に掲載する画像も選定します。メディアの雰囲気(トンマナ)に合わせて、記事の見出しごとにふさわしい画像を配置します。
誤字脱字、事実誤認はもちろんですが、文末の言い回しを統一することや表記揺れにも注意しながら、読みやすさとわかりやすさを心がけましょう。
効果測定
SEO記事が検索結果上位に表示され閲覧数を獲得するまでの期間は、記事公開から4〜7ヶ月程度かかることが多いです。そして、記事がある程度の閲覧数を得られるようになるまでの期間中、その検索結果順位は日々変動し、サイト全体でも検索結果上位キーワードの総数は変動します。
そのため、サイト成長を求める場合は、SEO分析ツールやGoogle Analytics、Search Consoleなどの解析ツールを使ってオウンドメディアの状態を定期的にチェックし、必ず効果測定をしましょう。
スマートメディア オウンドメディア営業担当
弊社では、サイトの成長進捗を月1回レポーティングしています。オウンドメディア公開から1年後の目標(KPI)を決め目標達成進捗を確認したり、上位表示獲得を目指しているキーワードの順位変動や、その傾向を注視しています。そこから今後のSEO記事のキーワード選定の方向性や、記事制作における戦略を細かくチューニングしていくのです。
【実践編】プレミアム記事の作り方
SNS経由の集客を狙った企画記事は企画策定が何より大切です。話題の人に出演してもらう、トレンドになっていることを取り上げるなど、型にはまらない自由な切り口で企画を考えます。
企画記事向けの企画の種類
とはいえ、あまりに企画選定の切り口が自由すぎると迷ってしまいますよね。
オウンドメディアの更新が止まってしまう理由の1つに「記事の企画が思いつかない」という声があり、企画の考案は多くの企業様が悩んでいるポイントです。参考に、スマートメディアが担当する企画記事(プレミアム記事)の切り口のパターンをご紹介します。
<例>
●インフルエンサー記事:影響力のある方に記事に出演してもらう記事
●体験記事:実際に自社のサービスや商品を体験する記事
●専門家記事:信頼性を高めるために医師や専門家への取材を実施して制作する記事
この3つの切り口には、それぞれおすすめする理由があります。
インフルエンサー記事
インフルエンサー記事は、出演者のファン層にリーチできるというのが一番の特長です。自社のSNSアカウントで紹介するのはもちろんですが、任意でその方のSNSでも記事を紹介してもらうことで思わぬ集客効果が生まれることがあります。
体験記事
体験記事は、生活者が知りたいことを編集部が身を持って体験し感想を伝えることで、生活者の役に立つことができます。
さらに、このタイプの記事は、外部にオウンドメディア運営や記事執筆を委託する場合にはとても有効です。なぜなら、第三者に自社の商品やサービスを体験してもらうことで、自社では気づかなかった良いところ、疑問や懸念が浮かび上がってくるからです。
スマートメディア オウンドメディアプロデューサー
弊社が制作・運営するオウンドメディアでは、オウンド立ち上げ初期の段階から体験記事を制作し、編集部がその商品やサービスを新鮮な視点で体験し、気づきを得ています。この気づきがその後の記事制作に活かされ、より魅力的な記事制作につながっています。
専門家記事
専門家記事(監修)は、サイトの信頼性を高めてくれる点でおすすめです。特に、Googleの検索品質評価ガイドラインで言及しているYMYL領域(お金や医療健康ジャンル)においては、信頼性のあるサイトほど上位表示されやすくなるので、このような手法を取るのがおすすめです。
3つのステップで具体的な企画内容を考案
企画記事(プレミアム記事)は、SNSのタイムラインやおすすめで見かけたときに、つい読みたくなるような企画内容を考案するのが重要です。記事の企画アイディアが枯渇しないためにも、普段からの情報のインプットと、複数の視点で企画を考えるのがポイントです。
1.SNSから情報収集する:世間の関心ごとを把握するために、InstagramやTwitter、Youtubeなどを日々チェック
2.メディアの状況をチェックする:どのジャンルの記事が一番読まれているか、PVに急激な変化はないかなどをこまめに確認
3.チームで企画を考案する会議を実施する:SNSからの情報収集とサイトの状況をチームで共有し、どんな切り口ならSNSで話題となるかをディスカッションする
SEOとSNSの集客対策で成功するオウンドメディアに
SEO・SNS・CMSの3つの集客戦略を正しく実践すれば、オウンドメディアは必ず成長します。毎月コツコツと記事を制作すれば、1年後にはオウンドメディアの運営費のみで、数十万人が自然にサイトに訪れるようになるのも夢ではありません。
とはいえ、社内でオウンドメディアの編集部をつくることが難しい、記事作成の手間や時間を抑えたいという場合もありますよね。そんなときは、スマートメディアのコンテンツ制作サービス『Ownd』を是非ご検討ください!