プロが解説!オウンドメディア失敗の理由と成功するポイント

オウンドメディアは企業のマーケティング手法として定着し、集客やブランディング、ファン醸成などに活用されています。オウンドメディアを活用することで、より効果的なデジタルマーケティングが可能になります。しかし、思うような結果が出せずにその原因もわからないままだと、オウンドメディア運営が失敗することもあります。今回は、オウンドメディアで失敗してしまう理由と、成功するための対策について解説します。

プロが解説!オウンドメディア失敗の理由と成功するポイント

この記事を書いたのは…

小針亜葵子}

小針亜葵子

PR/オウンドメディアプロデューサー

編集プロダクションやアパレルブランド勤務を経てWEBメディア業界へ。月間500万PVの男性メディア編集長や有名ガールズファッションイベント公式メディアの事業責任者などを経て、現在はPR/コーポレートブランディングを担当。2016年より現在まで、メディア運営のノウハウを活かし、男性グルーミングブランドのオウンドメディアプロデューサーも担当している。

オウンドメディア失敗の背後にある理由

企業が自社のサービスや商品を広告するために、オウンドメディアを運営しています。しかし、多くの企業が、オウンドメディアをうまく運営できずに、失敗に陥ってしまうことも多くあります。

Q.「オウンドメディア」を活用した戦略に注力していますか?

Q.「オウンドメディア」を活用した戦略に注力していますか?

出典:オウンドメディア白書2020(戦略・体制編)
Q.オウンドメディアのPV数は?

Q.オウンドメディアのPV数は?

出典:オウンドメディア白書2020(効果測定・コスト編)

2020年5月号広報会議によると、アンケートに回答した企業のうち8割以上がオウンドメディアに注力しているにも関わらず、半数が10万PV以下という結果になっています。このように、オウンドメディアを集客やブランディングに活用しようとしても、マーケティング効果を発揮できないことには理由があります。

ここでは、オウンドメディアが失敗する背後にある9つの理由を紹介し、うまく運用するためのポイントを解説します。成功事例に学びながら、改善策を見つけていきましょう。

コンテンツ戦略が明確でない

オウンドメディアを運営する上で、まずコンテンツ戦略を明確に設定することが重要です。企業が発信するコンテンツの目的やターゲットを明確にして、それに沿った内容の制作・編集を行わなければ、ユーザーに対して何を伝えたいのか、どんな価値を提供したいのかというメッセージが伝わりません。

WEBページを訪れたユーザーが求めている情報や価値を正確に捉え、それを満たすコンテンツを作成することが成功のポイントです。

運営の目的を明確に!
オウンドメディアの目的には、流入・売上・ブランディング・採用などがさまざま。商品・サービスの特徴、ターゲットを踏まえ、オウンドメディアの目的を明確に設定しましょう。

検索エンジン最適化(SEO)への対応が不十分

オウンドメディアの成功には、検索エンジン最適化(SEO)への対応が不可欠です。オウンドメディアをユーザーに見てもらうためには、SEOとSNSの主に2つのチャネルがあります。特に、SEOは力を入れるべき施策になります。

ある特定のニーズを持つユーザーが検索キーワードを入力し、課題を解決してくれそうなコンテンツをクリックして「流入」となります。つまり、ターゲットユーザーが検索しそうなキーワードを選定し対策することで、顧客となり得るユーザーにアプローチすることが可能になるのです。そのため、商品やサービスと関連の低いキーワードを対策したり、検索ボリュームがほとんどないものを対策してもあまり意味がありません。

SEO対策として、オウンドメディア運営の目的に合った適切なキーワード選定はもちろん、メタタグの設定、目次の設置、内部リンクの構築、外部リンクの獲得などさまざまな方法を活用し、検索エンジンで高い評価を得られるように努めましょう。検索エンジンで上位表示される機会が増えるほど、サイト(コンテンツ)の認知度が高まり、自社がターゲットとするユーザーに商品のPRや企業の想い・ストーリーを伝えることができます。

検索キーワード選定は慎重に!
オウンドメディア運営の目的に合った適切なキーワード選定はもちろん、メタタグの設定、目次の設置、内部リンクの構築、外部リンクの獲得も忘れずに。

ターゲットユーザーの認識が甘い

オウンドメディア運営において、ターゲットユーザーの認識が甘いと、効果的なコンテンツを提供できません。企業が“どういった目的で、誰に対して発信しているメディアなのか”という前提がここでも大切になります。

例えば、コンテンツ内容が自社の商品・サービスのおすすめや宣伝ばかりになってしまうと、ユーザーは魅力を感じません。リアルなニーズに応えることができるよう、ターゲットユーザーの年齢や性別、興味・関心、購買動機などを把握してペルソナを設定し、彼らにとって価値のある情報やサービスを提供しましょう。

また、アクセス解析やSNSでの反応(いいね数、保存数、コメントやフォロー)を見ながらユーザーの声を取り入れた改善を行い、より良いオウンドメディアを構築していくことが重要です。

▼ペルソナについて詳しく知りたい方はこちら!

ユーザーにとって価値のある情報を発信する!
ターゲットユーザーの年齢や性別、興味・関心、購買動機などを分析・把握してペルソナを設定。商品・サービス情報だけでなく彼らにとって価値のある情報やサービスをオウンドメディアのコンテンツとして提供しましょう。

WEBデザインが適切でない

WEBデザインは、オウンドメディア戦略の成功に大きく影響します。不適切なWEBデザインはユーザー体験を損ね、顧客獲得の機会を逸してしまいます。そのため、ターゲットユーザーが見やすく、使いやすいデザインが求められます。

また、デザインにもSEO対策を取り入れることで検索エンジンで上位表示される可能性が向上し、オウンドメディアサイトへのアクセスが増加します。適切なWEBデザインによって、ユーザーが求める情報に簡単にアクセスでき成果が上がることでしょう。WEBサイトのデザインを決める際には、ターゲットユーザーが好きな世界観や色味、フォントなどをしっかりと分析しオウンドメディアに活かすことが大切です。

ターゲットユーザーに合わせたデザインを!
ターゲットユーザーが見やすく、使いやすいデザインを心がけましょう。そのために、ターゲットユーザーの分析は綿密に行い、定期的にデザインの見直しと改善を行いましょう。

社内体制が整っていない

企業において、オウンドメディア運営の成功には社内体制の整備は不可欠です。しかし、社内体制が整っていない場合、運用担当者が多くの業務に追われコンテンツの更新が適切に行われず、マーケティング効果が低下するため失敗につながります。

また、運用体制が明確でないとコンテンツ制作やSEO対策のノウハウが社内で共有されず、効率的な運営が難しくなります。コンテンツ制作においても、カテゴリ設計からペルソナ分析、コンテンツ戦略など、さまざまな知識と部署を超えた連携が発生します。

まずは、社内の運営体制を整えることで適切なコンテンツ制作や更新が行われ、オウンドメディアの運営がスムーズになり、企業全体のブランディングや集客につながるでしょう。もし社内リソース不足やクオリティが担保できない場合は、プロに外注して効率よく運営することがオウンドメディア成功の条件です。

社内体制を整えて適切な人材配置を!
オウンドメディアの業務は多岐にわたります。1人で負担させずに最適なメンバーを集め、オウンドメディアを効率よく運営しましょう。

コンテンツの更新頻度が低い

オウンドメディアを運営する際、サイトの更新頻度が低いとユーザーの興味を惹き続けることが難しくなります。定期的に新しいコンテンツを追加することで、訪問者に対して新鮮な情報を提供することができるので、リピーター(ファン)の獲得やブランディングにも効果を発揮します。

また、更新頻度の高いサイトは検索エンジンからも評価されるため、SEO対策にもつながります。効果的なコンテンツの更新スケジュールを立て、運用体制を整えましょう。

月10本の更新が理想!
SEOや企画記事含め、月10本以上の更新が理想的なコンテンツ数です。体制によりますが、オウンドメディア運営は、少ない更新頻度ではなかなか効果を実感できにくい傾向にあります。

SNSでの情報発信が足りない

SNSを活用した情報発信はオウンドメディア戦略の中でも重要な施策です。しかし、SNSでの情報発信力が不足していると、ターゲットユーザーへのアクセスが減少し、商品やサービスの認知が低くなります。

情報発信力を向上させるためには、定期的な投稿やターゲットに合わせたコンテンツ制作が必要です。また、SNSでの効果的な発信方法を研究し、適切なハッシュタグやキーワード、適した媒体(Twitter、Instagram、TikTok、YouTubeなど)を使用することで情報拡散が促進されます。

適した媒体でターゲットに合わせた投稿を!
SEOと並びユーザーの主要な流入チャネルであるSNS。反応がわかりやすく相互のコミュニケーションが可能なSNSは、メディアと併せて最低1つは運営するのがおすすめです。

PDCAが回っていない

オウンドメディアの効果を最大化するには、定期的な分析と改善のサイクル(PDCA)が必要です。しかし、このサイクルが回らない場合、失敗に気づかず同じ過ちを繰り返すことになります。

分析・改善のサイクルを回すためには、サイト分析ツールやアクセス解析やユーザー行動を把握し、データを基に改善策を立案します。また、社内で情報共有し、全員が分析・改善に関与できる環境を整えることが重要です。このサイクルを継続することで、オウンドメディア戦略の成果は確実に向上するでしょう。

適切なツールで分析改善を!
PDCAを回すためには、何より適切な分析と改善策の実行が必要です。運営が初めての方は自力で分析するのではなく、適切なツールやプロにコンサルティングを依頼することがおすすめです。

すぐに結果を求めている

オウンドメディア運営において、過度な期待や費用面などの理由から短期間で結果を求めてしまうと、「失敗」とされてしまうケースが多くあります。

しかし、オウンドメディア運営は長期戦です。サイト立ち上げ〜定期的なコンテンツ発信が可能になるまで半年ほどかかることも多く、効果測定においては最低でも1年は継続した運営が必要です。その期間にPDCAを回しながら、よりよいサイトにするための施策を重ねて初めて、求めていた成果につながります。

オウンドメディアは長期戦!
少ないコンテンツ数や短い期間で失敗と判断せず、目的を見据えて日々コツコツと運営することが、成功への近道です。

顧客評価・信頼がなかなか獲得できない

顧客評価や信頼の獲得は企業の成長に直結する重要な要素です。しかし、顧客評価や信頼を獲得することは容易ではありません。

サービスや商品の品質はもちろんのこと、オウンドメディア上ではお客様となるユーザーが興味関心を持つコンテンツや役立つ情報を発信し気づきや発見を促したり、思わずシェアしたくなるような魅力的なキャンペーンを開催するなど、さまざまな施策を行いましょう。

SEO記事も大切ですが、ユーザーに合わせた適切なコンテンツの提供や効果的なマーケティング活動を行うことで、信頼や評価につながります。

また、WEB上での評価が高いとユーザーの目に触れる機会が多くなり、新規顧客が興味を持ちやすくなります。同時に、一度購入したユーザーへのアプローチも可能なためリピート顧客も増えやすくなります。信頼を築くためには顧客目線に立ち、ニーズに応える情報やサービスの提供を継続的に行いましょう。

ターゲットに合わせたさまざまな施策にチャレンジ!
オウンドメディアのユーザーとの信頼を築くためには、顧客目線に立ちニーズに応える情報やサービスの提供をしましょう。メディアの枠組みに捉われず、魅力的な企画やコンテンツを発信し続けることが大切です。

失敗しないオウンドメディア運用のための6つのポイント

オウンドメディア運用において成功を収めるためには、いくつかの重要なポイントを押さえる必要があります。以下に、失敗しないオウンドメディア運用のための6つのポイントをご紹介します。

目的とターゲットを明確にする

オウンドメディアの運用において、運営の目的とターゲット設定の明確化がもっとも重要です。目的を設定することで適切なSEO対策が可能になったり、コンテンツの軸が定まるためPDCAが回しやすくなります。

また、具体的なターゲットを設定することで、コンテンツの方向性やデザインが統一され、ユーザーに対して魅力的なメディアを提供することができます。さらに、明確なターゲット設定は目的設定同様、企業の目的やビジョンに沿ったコンテンツ制作につながり、社内外の関係者に対してもオウンドメディアの役割や意義が共有されやすくなります。

コンテンツの質と魅力を高める

オウンドメディアのコンテンツは、ユーザーに価値を提供し興味・関心を引き出すものでなければなりません。高品質なコンテンツは自社の信頼性や認知度を向上させ、顧客の獲得やリピートにつながります。

コンテンツ制作では、ターゲットとなるユーザーのニーズに寄り添い、役立つ情報や企業独自の視点やストーリーを提供することが重要です。また、わかりやすい表現や視認性の高いデザインも、ユーザーの満足度を向上させる要素となります。

SEOを意識したキーワード戦略

オウンドメディアのアクセス数や集客の前提となるのが検索エンジンからの訪問であり、運用においてSEO対策は欠かせません。そのため、適切なキーワード戦略により、検索エンジン上での上位表示を目指すことが重要です。

まず、自社のサービスや商品に関連するキーワード、競合が獲得しているキーワードをリサーチし、それらを適切にコンテンツ内に盛り込むことが求められます。また、競合他社との差別化を図るため、ロングテールキーワードを活用することも効果的です。

▼SEOについて詳しく知りたい方はこちら

持続可能な更新頻度を設定する

オウンドメディアにおいて、持続的な更新は重要です。更新頻度が高く情報を発信し続けることは、ユーザーや検索エンジンに、常に新鮮な情報を提供することにもつながります。

一方で、更新頻度だけを追い続け無理な更新を続けると、コンテンツの質が低下したり、運用に関わる社内のリソースが枯渇する可能性があります。そのため、オウンドメディアの目的に沿った適切な更新頻度を設定し、企業にとって持続可能な形で運用を行うことが成功のポイントです。

社内の情報共有と体制構築を確保する

企業がオウンドメディアを運営する際、社内での情報共有と体制構築も大切なポイントです。前述の通り、オウンドメディアを成功させるためには、まず自社の目的やターゲットを明確にし、各部署や担当者と連携を取りながらコンテンツ制作やマーケティング活動を行う必要があります。また、適切なWEB分析を行い、効果測定や改善策の検討ができる体制を整えることも大切です。

さらに、定期的な情報交換や状況の報告を行い、社内の認知や関心を高めることが求められます。これにより、オウンドメディア運用における目標や役割が共有され、多くの社員が関わり、より積極的な取り組みが可能となります。最後に、社内での情報共有と体制構築が整った上で、社外との連携や提携も視野に入れることで、さらなる成功へとつながるでしょう。

SNSでの積極的な情報発信

SNSでの積極的な情報発信を行うことで、ブランディングや集客、顧客のリテンション向上が図られます。まずは、自社の商品やサービスに関連した有益な情報や独自のストーリーをコンテンツ化し、フォロワーの興味や関心を引き付けましょう。
その際、ユーザーにとって有益かつ魅力的なコンテンツを作成し、タイムリーに発信することが重要です。また、いいね数やフォロワー数だけで効果を測らず、保存数や再生回数などSNSのトレンドに合わせた効果測定をすることがおすすめです。

また、SNSの活用により、リアルタイムでの顧客とのコミュニケーションが可能となり、より深い信頼関係の構築が期待できます。
さらに、適切なキーワードを用いてSEO対策を行い、検索エンジン上位表示を目指すべきです。効果的なSNS活用により、自社のブランドやサービスの認知度向上や新規顧客の獲得が期待でき、オウンドメディアの成果に大きく貢献します。

オウンドメディア失敗から学ぶ成功事例とその要因

オウンドメディア運営において失敗する例も多く存在しますが、その反省点から学び成功事例を生み出すことができます。成功事例では、コンテンツの質や運用方法といった要因に注力しており、それが結果として評価やアクセス数の向上につながっています。

また、成功したオウンドメディアは、ブランディングやWEBマーケティングの観点から見ても明確な目的と軸を持っており、ターゲットに対して魅力的なメッセージを届けることができています。

さらに、効果的な分析や適切な改善策を用いて運用を行うことで、目標に対して効果測定が実施されており、その結果に基づくPDCAサイクルが回せています。

このような成功事例から得られる教訓は、オウンドメディア運営において重要な指針となります。他社の事例を分析して学ぶことで、自社の運営に活かせることがたくさんあります。

▼オウンドメディア成功事例はこちらから

失敗の原因を知り成功するオウンドメディア運へ

オウンドメディア運営の失敗には、多くの教訓があります。失敗を繰り返さないためには、成功事例を参考にしながら失敗の教訓を活かし、自社に合った戦略を立てることです。

オウンドメディア運営を成功へと導くためにも、これらの失敗の教訓を踏まえながら、根気強く継続的な取り組みを行いましょう。そして、社内での情報共有と体制構築、SNS活用を含めたマーケティング戦略を整えることで、より効果的なオウンドメディア運営が実現します。

オウンドメディアを始めたい方はぜひお問い合わせください!

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